ダウンロードは悪いことなのか?
昨今IT関連のニュースをにぎわせている「ダウンロードを違法と認める政府の意見」ですが、私見としていくつか。
まぁ、結局のところJASRACが既得権益を守りたいんだな、というのが初めにあるように思えます。
デジタルコンテンツは劣化しない複製を容易に作れる。
この前提を恐怖するのは、コンテンツビジネスをする側からすれば当然だと思います。売れなくなるしね。
ここで、劣化してない複製品を売ることで不当な利益を得るのを取り締まるのはいい、というかやらないと著作権者の利益を守れないのだからむしろ率先してやるべきです。
ところが。
いま話題になっている「ダウンロードする消費者」なのですが、果たしてここまで大仰に考えているでしょうか?
……考えていたら誰もやらないでしょう。
僕が子供のころ、AM/FMラジオの歌番組や深夜放送などを必死にテープに録音し、伸びきるまで聴いていたなんて話はどこにでもありました。
結局、これと同じなんですよ。
「ただであるものを聞いて、悪いのか?」
多分、こんな風に考えているのではないでしょうか。アナログメディアならOKでデジタルじゃだめなのかと。それは私的複製の範疇に入るのではないかと。
だめなんだよ、ということに明確な理由がないんですよ。相変わらず偉い人の書く文章はまだるっこしくてわかりにくい。
そこで僕は思うのです。
ダウンロードされるものとパッケージで売るものに明確な差異をつければいいのではないか。
CDが売れないのはCDのデータを直接リッピングしてるデータが出回っているから。
だったら、オフィシャルの側で、8ビットモノラルぐらいのどーでもいいサイズのデータをガンガン配信して、こいつをフリーでダウンロードさせる。
その上で、CDをリッピングしたデータを提供した者、およびDLした者は処罰の対象とする。CDを持っている人は自分でリッピングして聴く分には問題なし(コピーワンスなんてケチくさいことは言わず)。ダウンロードについてはCDを持っていようといまいと違法とする。
こうすれば、とりあえず聴ければいい、というライトユーザを違法ダウンロードから遠ざけることができるんじゃないかと。
動画だってそう。VGAのモノラル音源のデータをガンガン垂れ流して、こいつなら2次展開してもOKよ、もっといい画質音質で見たければ、5.1chで見たければ、ブルーレイで見たければディスクを買え、その代わり、リッピングしたデータを流布させたりダウンロードしたら違法で処罰の対象。
データを劣化(圧縮)させていても、元がパッケージだったら流布させたら違法、ってことにしたほうがわかりやすいんじゃないかと。
私的複製についても不可逆圧縮しかできないんだから、そんなに気にすることはないと思うんだけどね。
データにメーカー情報を埋めるなどして、2次展開OKのデータかどうかはすぐ判別つくようにして、それ以外は全てNGってすれば、技術的にもそんなに難しくない(クラックされたとしても、そもそも元データと同じかどうかでソースがどれかは判断つけられると思うがこの辺はちょっと考察が甘いな)と思うし。
むしろ、この辺のせめぎあいで動画と音声で完全可逆圧縮の技術が確立したらそれはそれですごいんじゃないかと。
要は、質の高いデータがほしければパッケージを買え、そうじゃなければどーでもいいデータで我慢しろ、ってやり方。
締め付けるだけでユーザの利便性をマル無視って件の提案よりも、納得力はあるんじゃないかと自画自賛。
何がいいってこれなら今までと変わらないんだから頭の固い経営者や政治家連中にも納得させやすいと思うんですよ。
つーか、デジタル放送でなんであんなに帯域を圧迫したりインフラの買い替えを強要してまで高品質のデータを流さなきゃならんのかと、まだ買ってない人間からすれば常々疑問だったり。
見れば差がわかるといわれても、いまテレビ見ないしCDもろくに買わないんだよねー。普通のドラマやバラエティ番組で面白いって思うものもないし、好きなアーティストってのもそんなにいないので。骨の髄までヲタクってことか自分。
音楽流通についてはこんなのも始まってるらしいので、来年以降ちょっといろいろ考えてみたいなと思うのです。