初音ミクオンリーライブ

 新宿アンチノックで4バンドブッキングのボカロ曲オンリーのライブに行ってきました。
 ……と書くと非常に他人行儀ですが、まぁ出てるメンバーがほとんどミクバンオフのメンバーなので勝手知ったるなんとやら。
 俺自身、ヘルプの話も来てたんですが、なにせ今週の修羅場ではどうしようもなく、結局は一般客としてお邪魔しました。
 以下、出演バンド順に雑感を。

BLL

 トップ目は若手バンド。鍵盤レスでごりごりと進める……のかなと思ったらいい意味でイマドキのポップロックバンドっぽく仕上がっていて好印象。
 ところどころコードの解釈に首をかしげたこともあったけどまぁそこは置いておいて。
 りもこ嬢のMCも、いい意味でいじられキャラを確立させていたさかうぇい君と共にいい味。
 何よりかにより、この二人のツインボーカルがよかった。これで初ライブっていうんだから末恐ろしい。
 つかみとしては十分以上のステージだったのではないかと。

ピアノ×stnb×スキャンダル

 あー、えーっと、なんつーか、いい意味でも悪い意味でも残念。
 結果オーライの部分含めて、あの微妙な空気感はライブならではないかと。
 企画含めて結構なキワモノを自覚してやってるだけにいろんな意味で始末に終えなかった。
 演奏を聴いててとりあえず手伝いたかったなぁというのが率直な感想。だって楽しそうだったし。

MIX JAPAN

 ステージに全員登場し、始めるのかなー、コスかわいいなー、イケメンは化粧栄えしてていいなーとか思ってたら、ドラムのじろーさんがやおら上半身裸になり、次の瞬間あのイントロと合掌。
 曽根崎心中キター!
 と思ったらステージ真正面目掛けて突進してくる人影が。
 つか、あれデPかよ!
 もうこの時点でつかみOK。あとは怒涛のガチロックラッシュ。
 なんだこのドライブ感。ありえねえ。
 気がついたら力いっぱい頭振ってました。あーストレス解消。

VOCALOISM-rev.

 トリは主催のnave君いわく「チートバンド」ってことでしたが、ほんとにそうだった。
 半端ねぇ実力者勢ぞろいで、それをバックにピンで渡り合うボーカルの琳さんも堂々たるもの。
 俺の貧相な例えだと、高中正義とCHARのギターバトルの後ろでナルチョがベース弾いてる、みたいな。
 眼福でした。いや、ホントに。


 総じて過去に見たダメ系ライブの中でも屈指のものだったと思います。
 原因としてはやはり、他で散見する「ダメ系というくくりでブッキングした結果、趣味の合わないバンド、曲のわからないバンドがあってテンションの乱高下が発生するライブ」ではなく、プレイヤーもオーディエンスも「ボーカロイドのオリジナル曲」という共通認識に基づいた一体感なのかな。
 それでも、各バンドのMCがきちんと今やった曲について言及してるのはやはり他のダメ系ライブにはないもので、これも好印象だったってのはありますね。
 某銀様wに酔った勢いで打ち上げのときに話したんですが、ボカロ曲を演奏するのって、20年まえに俺なんかがコピーをやってたときには考えられなかったんですよ。
 まず、CDにもなってない(中にはなっているものもありますが)、作曲者も全国区の有名人でもなんでもない、そんな曲をコピーしてライブでやるなんてありえなかったわけで。
 なんだろうこのムーブメント、って考えたときにふと思ったのが、コミケにおける二次創作の元ネタの推移で、TYPEMOONの「月姫」をうちのサークルでやるって決めたとき「同人ソフトの二次創作やるなんて考えもしなかった」っていってたのに似ているということでした。
 やはり出版にも一般ゲーム市場にも出ていないコミケという限定された世界のものを、全国単位で共有するってのが今までになかったムーブメントだったわけです。
 その後、「ひぐらしのなく頃に」「東方Project」なんかが同じようなムーブメントを形成するのですが、そのときは出版やアニメのメディアの移り変わりを俯瞰してるようなところがありました。
 でも、自分自身がニコ動のボカロ曲をコピーし、セッションをするようになって、この「マスメディアに乗らない作品群を見知らぬ人同士で共有している」ってのが実は物凄いことで、ある意味文化の分岐点に立っているんじゃないかとまで感じています。ここまでいうとさすがにオーバーかもしれませんが。


 ライブ出演者の皆さん、そして主催のnave君と犬さん、ほんっとにお疲れ様でした。
 いいライブでした。願わくば、今後も何らかの形でこんなライブが見れますように。