文章を書くにはペンがキーボードに勝る

 という研究論文がアメリカで発表されたらしいのですが。
 とりあえず全力で否定してみよう。

 まず、
>〜2年生、4年生、6年生の子供にエッセーを書かせたところ〜

 この時点でペンとキーボードという「出力デバイス」に対する習熟度に差があるのは想像に難くない。家で最初に教えるのはどっちか、学校の最初のカリキュラムにあるのはどっちか。そこを考えればキーボードに圧倒的なハンディがある。

>〜キーボードが勝っていたのは、アルファベットを個別に打ち込んだ時だけで、

 どのようなテストをしたのか詳細は省かれているが、いくらなんでも小文字のaを1000文字手書きとキーボードの入力で比べたりはしていないと思いたい。

>〜 この研究は、書き手の考えを文字や文章に書き起こすときに使用される認識プロセス、いわゆる「筆写」能力について調べるために行われた。

 これが「文字を覚える」ことであるなら素直にうなずいた。日本人にとって、漢字を覚えるのは目で見ただけではやはり片手落ちで、書くことによる反復訓練は必須である。
 ただし、文章を書くという作業においてペンによる手書きとキーボードによるワードプロセッサに優劣がある、という点については疑問を覚える。だからこそ研究対象にしているのだろうが。

 今後の追検証としては、世代別、キーボードを日常的に使うかどうか、というところまでやってもらいたい。

 とか書いてみたんだけど、まぁ、なんだかんだで20年以上キーボードに触れる文化で、文章書くのもキーボードで行い、最悪なことに自分の手書きの文字が大嫌いという人間からしてみると、ペンがキーボードに優るなんて書かれたら噛み付かざるを得ないわけで。
 手書きとキーボードで文章が変わるのは当たり前です。日本語なら顕著、英語圏でもそうなのかな。
 少なくとも、キーボードで小説書いてる連中が、どうしてよく知りもしないめんどくさい……手で書いたら絶対書けないような画数の……漢字を使うのかを考えれば一目瞭然。だってPCのFEP(ってこれももう使わないPC用語なのかしら)が勝手に変換してくれるんだもん。そりゃ使うよね。薔薇とか書いちゃうし、初号機だって初號機とか書いちゃうよね。
 ツールに振り回されるような文章の書き方なら、そりゃあ出力デバイスで文章も変わるでしょうよ。それだけのことでしかないのに、よもやこれが結論だなんていいませんよね、研究者の皆様方?